えいご道場ブログ 小学生に英語塾は必要か?

ELK Blog 

子供の頭上に?が浮かんでいる

小学生に英語塾は必要か?

小学生に限らず、幼児に英語を習わせる必要があるのかという問いは英語教育においては普遍的なもの一つですが、私の考えは “No” です。小学生が英語学習をする価値は十分にあると思いますし、我が子にも早く英語に触れる機会を与えています。しかし、「必要」かどうかは一概には言えません。英語に限らず、物事の必要性や価値は本人が振り返って見出す他ないとは思います。

 私自身、生まれた時から家庭の教育方針で父親とのコミュニケーションは英語でした。英語の環境が無かったならば、人生の分岐点において英語が選択肢に入る余地はなかったでしょう。しかし物心ついたころから人と話をするのが好きで教育にも関心を抱いており、それを職業にできたらと考えていました。結果論ですが、英語以外の科目を私が教えているところは今となっては想像できず、英語が選択肢にあって感謝しております。振り返ると、私にとっては必要なことだったと思えます。とはいえ、周囲の大人や教育に携わる者が、子どもたちにとって英語学習の価値を可視化してあげることは非常に大切であると思います。ですから「英語を学ぶことで子どもたちにどのような未来が開かれるか」を考えることは極めて重要であり、それは私達大人や教育者の責任であると考えます。

英語を「ツール」として捉えることへの懸念
ここであえて、英語学習の必要性と向き合う上で私が前提としたい考えについてお伝えしておきます。それは英語教育を考える際、英語には「ツール」としての価値とは別に、定量化できない側面があるということです。そして私は、英語を単純に「ツール」として扱う考え方が広く流布されることに対して、慎重であるべきだと考えています。確かに、英語は仕事や学業で便利に活用されることがあります。しかし、「便利な道具」としての一面ばかりが強調されると、英語そのものが持つ文化的な豊かさや、人とつながる喜び、自分を新たな形で表現する力が軽視される恐れがあります。

たとえば、文豪が言葉を「道具」として意識して創作に臨んでいるとは考えにくいものです。むしろ、言葉そのものに価値を見出し、その響きやリズム、意味を深く追求しているはずです。同様に、英語も単なる道具ではなく、人生における新しい視点をもたらしてくれるものだと私は思っています。このような観点を軽く捉えるような「英語は単なるツールだ」という考えを広めることには警鐘を鳴らしたいのです。

英語は単なる学問やスキルではなく、異文化を理解し、自分の可能性を広げるための「架け橋」となり得る力を持っています。この部分を無視すれば、一番コストパフォーマンスが良いのは、特別なことをせずにAIを駆使することで、その次に効率が良いのは10代で英語を習うことではないでしょうか。

英語学習の早期開始のメリットとデメリット
「英語は早く始めた方が良い」という意見を耳にしたことがある方も多いでしょう。この考え方には一定の根拠があります。早く学習を始めることで、特に発音やリスニング能力を柔軟に育てられる可能性が高いとされています。これは、音を聞き分ける力や発音器官の柔軟性が、特に幼少期に発達するためです。母語でも幼少期に極端に聞かない発音は苦手になるという話があります。また本来は異なる音でも方言によって音の違いを区別せずに育った場合、異なるはずの二つの音が「同じ発音に聞こえる」という人も珍しくありません。英語特有の音が区別できるようになることも早期英語教育の良さと言えるでしょう。ただし、早期英語学習で強調される力の多くはコミュニケーションにおいて必須級の能力ではないとは思います。

早期英語教育のメリットその1:発音やリスニング能力が自然に身につく
小さい頃から英語の音に触れることで、ネイティブスピーカーに近い発音や聞き取り能力が育ちます。これは第二言語学習における「臨界期」が影響しているとされています。幼少期から英語の音に慣れ親しむことで、将来的に英語を使いこなす上で大きなアドバンテージとなります。

早期英語教育のメリットその2:得意分野を持つことで自己肯定感が育まれる

「英語が得意」という感覚は、子どもたちにとって自信を持つ大きな要因になります。この自信は他の分野への好奇心や挑戦心にもつながり、学習全般におけるモチベーションの向上にも寄与します。

早期英語教育のメリットその3:異文化理解や多様性への好奇心が芽生える
英語を通じて異なる文化や価値観に触れることで、子どもたちは世界の広さに気づきます。異文化との出会いが、将来多様なコミュニケーションへの意欲を引き出すきっかけになるのです。

早期英語教育のメリットその4:学習の柔軟性が高い
小学生は新しい情報を吸収する能力が高く、言語習得においても柔軟性があります。この時期に学ぶことで、英語以外の言語学習にも良い影響を与える可能性があります。

デメリット 英語汚染というリスク
早期学習にはメリットが多い一方で、注意が必要な点もあります。その一つは私が「英語汚染」と呼んでいる現象です。これは、未熟な指導や誤った方法で学習を進めることで、正しい発音や言語の感覚が歪められてしまう問題です。 誤った発音が定着すると、後から修正するのが非常に難しくなります。特に、誤った音のイメージが頭に染み付いてしまうと、正しい発音を理解するのに大きな障害となります。聞き取れさえすれば、発音はそれほど重要でないという考えを聞いたこともありますし理解できますが、自身の英語が通じる発音かどうかを評価するのは自身でない以上、聞き取りやすさを高めていくことは重要です。

聞き取り能力の低下
また、発音のイメージがずれることで正しい音を聞き取れなくなります。リスニング能力の向上を妨げ、コミュニケーションに支障をきたす可能性があります。

学習意欲の低下
正しい成果が得られないことで、子どもたちの学習意欲が低下することがあります。これは英語学習全体に対するネガティブな印象を生む可能性があります。子どもの英語学習において一番避けてあげたいことが、「何年もやっているのに英語が話せず、中学から英語を習いはじめた同級生に2年ほどで追い抜かれてしまう。」という危機感を抱くこと。早期英語学習に問題があるわけではありませんが、方法が間違っているものは早くから始めても成果が得られないことを考えると、早く始めることそのものが必ずしも正解というわけではないように思います。 具体的に私が注意すべきと感じているのは、正しい英語の音が分からないまま大人がついアドバイスや指導をしてしまうことです。私は母を含め英語を生業としていない身内にはこのことを伝えて子どもの前でむやみに英語を発音して見せないように協力してもらっています。指導者の質がまだ十分に担保されていない学校での英語教育については、功よりも罪の方が大きいのではないかと懸念を抱いております。 正しい発音が定着してからは英語汚染の影響はほとんどなくなるので、指導者の質が高いのであれば、早期教育のメリットはデメリットに打ち勝てると言えます。

早期英語教育の成果
最近では、早期英語教育は期待ほど効果を出せていないと思われています。実際に、早期英語教育の効果を学術的に示せるデータは多くはありません。しかし、それは学習方法と指導者の質が大きく関わっているように思います。経験則ですが、0歳から10代までは特に顕著で、一概に英語学習の効果を年齢別に示すのはそもそもが難しいのではないか考えます。 早期学習を進める際には、指導者の質や学習環境を選ぶ際には慎重になったほうが良いと思います。初めて習う英語がどんなものなのかが重要なのです。

中学・高校からでも間に合う?
では、中学・高校から英語を塾や英語スクールで習い始めるのはどうでしょうか?私は遅いとは思いませんこの時期に英語学習を始めることにも、メリットがあります。しかし、条件を整える必要はあると感じます。それは前述したような英語汚染がなく、質の高い指導者や学習法に出会えているということです。しかし、英語教育が下手に流行してしまっているせいで、この条件も難しいものです。加えて、高1で英検準2級の生徒が高3の夏に英検準1級を目指すのは現実味がなく、険しい道を歩まなければならないでしょう。少し逸れますが、英検2級と準1級合格にはかなりの差があります。英検2級で8割以上正解するようになってようやく英検準1級で5割正答できる感覚です。選択肢は4つあるので、5割正答というのはほとんど何も分かっていないと言えます。しかも英検準1級からは7割の正答が合格基準です。厳密には偏差を計算して配点されますので、一概に言えは言えませんが。ELKの生徒の場合、英検準1級を早めに合格して、あとは半分趣味の領域で英語学習を続けている生徒もいます。中学・高校で本格的に始めた場合、そういった余裕はゼロに等しいと思います。

中学・高校から始めるメリット: 学習能力が発達しているため、効率的に習得できる
中学・高校から英語に本腰を入れるメリットをお伝えする大前提として、根本的な国語力・論理的思考力は平均以上に培われていることとします。論理的思考が発達していると、文法や構造を理解しやすいため、短期間で効率的にスキルを高めることが可能です。また、目的意識が明確でモチベーションを維持しやすいので、この時期の子どもたちは進学やキャリアを見据えて学ぶことが多く、具体的な目標を持って学習に取り組むことができます。 自分で学習計画を立てたり、問題点を自己分析する能力も育っているため、より主体的に学ぶことができます。自分に合った学習方法を選択できるという利点もあります。要するに、うまくいけば時間効率が良いということです。何度も言いますが言語力の根本をささえる国語力は大前提です。

しかし、ここでも質の高い指導者や適切な学習環境が重要であることは言うまでもありません。 中学・高校から英語を始めるデメリット 発音やリスニング能力に関しては、中学・高校からの学習ではネイティブ並みを目指すのは難しい場合もあります。それでも、社会人になってから英検1級レベルのスキルや、国際社会で通用する実用的な英語力を身につけることは十分可能です。現にELKえいご王国の卒業生でこの条件で大学在学時や社会人になって英検1級に合格したと報告も時々いただきます。

しかし、必ずと言っていいほど「もっと早くからやっていれば」と話してくれます。理由を尋ねると、ELKで小さいときから英語をやっている生徒の発音にはずっと憧れるのだそうです。ただし、これは英語に対して向上心があるからこその感想なので、小さいときからやっても自分の英語に納得していない人は多いと思います。 早期英語教育の是非を英語力をつける点のみに的を絞ってまとめますと、良い指導者と学習環境を用意できれば0歳から始めるのが理想的で、そういう出会いがないのであれば無理に始めるのは結果の振り幅が大きくなってしまい、むしろ将来的な英語力の伸びを阻害するリスクを伴うのでおすすめできません。 正直なところ、小学校の科目で英語が入ってきたとしても塾に通わなければならないほど難しくはありません。それでも、すでに周囲で学習を進めた子どもたちが得意げになっている様子から不安を抱くこともあるかと思います。この点が心配な親御さんは、早くからお子様の国語力やチャレンジ精神を伸ばすことに注力してあげてください。そうすれば、教科書を読み、先生のお話を真面目に聞いているだけでも分かるはずですし、1回で分からなくても宿題や自学習を通じて対応できると思います。

英語学習がもたらす自己肯定感と挑戦意欲
英語を学ぶことで子どもたちが得られるのは、言語力だけではありません。 自己肯定感の育成 英語学習を通じて得意な分野を持つことで、自分に対する自信が育まれます。「自分は英語ができる」という感覚は、他の科目や活動にも良い影響を与えます。この自己肯定感は、将来の挑戦や自己実現において大きな原動力となります。 挑戦意欲の向上 異文化に触れる中で、さまざまな価値観に対する好奇心が芽生えます。これが、多様なコミュニケーションに挑戦する意欲を育てます。海外留学や国際ボランティアなど、新しい世界への扉が開かれるきっかけとなります。 コミュニケーション能力の向上 英語を学ぶことで、言葉だけでなく非言語的なコミュニケーションにも敏感になります。これは、人間関係を築く上で非常に重要なスキルです。 さらに、英語を通じて世界中の人々と交流することで、国際的な視野が広がり、将来の可能性が大きく広がることも期待できます。これらの経験は、子どもたちの人生における貴重な財産となるでしょう。

自身の体験から
私は父親とは英語、母親とは日本語を話す環境で育ちました。それ以外はごく普通の日本人です。父も日本生まれ日本育ちの日本人です。私は海外経験が少しありますが、合計しても1年未満です。 22歳の時に英検1級に合格しましたが、成果だけ見れば、早くからやらなくても実現可能といえるでしょう。しかし、英検1級までのラーニングコストは低かったと感じます。これが早期英語教育の一番のメリットかもしれません。

子どもの成長と経験の場としての英語教室
英語を単なる学問ではなく、子どもたちの人生を豊かにするものとして捉えると、いつ英語学習をはじめるべきかの答えも見えるかもしれません。他の習い事にも言えることかも知れませんが、英語を指導している子どもたちから英語を通じて様々なセンスを感じ取ることができます。「音を捉えるのが得意」、「書くのが得意」、「話題を探すのが得意」、「調べるのが得意」、「質問するのが得意」など、子どもたちは様々な能力の側面を見せてくれます。それらは、きっと他の習い事にも通じるものだと思います。英語学習を一つのきっかけとして、子どもの得意分野を見つけ、それらを伸ばすこともできます。 また、異文化に触れること、多様な人々とつながる力を育てることにも繋がります。 私の教室では、親子での学びを重要視し、保護者の方にも参観していただくようにしています。これは一見すると親の時間が無駄に取られてしまうと思われてしまいます。しかし、子どもにとっては、親が時間をかけてくれることには大きな意味を持ちます。子どもたちはた親と一緒に学びを楽しむことで、自己肯定感を高め、学びのモチベーションを引きだします。英語学習を単にスキルを磨く場ではなく、親子で過ごす貴重な機会と捉えれば、早く始めることに対して積極的になれるのではないでしょうか。

英語塾の価値を問い直す
小学生に英語塾が必要かどうか。それは、子ども一人ひとりの状況や家庭の価値観によります。中途半端なことをするくらいならば、良い出会いがあるまで待った方が良いと思います。 しかし、質の高い指導者と学習環境に出会えるのであれば、早期から英語学習を始めることは大いに意義があります。英語を学ぶことの大切さは、試験の点数や資格だけではありません。自分自身を発見し、未来に向けて挑戦する機会でもあるのです。

 

ブログトップページ
ELKえいご王国のホームページ