英語力を維持していくには(帰国子女・上級編)

英語力を維持していくには(帰国子女・上級編)

帰国子女が英語力を維持していくにはどうすればよいのか。

海外経験のある小・中学生が帰国後、英語力を維持の仕方に悩むということはよくあります。この問題にどのようなアプローチをすれば良いのか考えていきます。またELK英王国の生徒やELKの門戸を叩く人の中には国内の学習だけで小・中学の間に英検準1級に合格するような人もいます。しかしそのような人にも課題は多く、上級者とも、まだまだスタート地点にいるとも言えますましてや国内で英語力を維持・向上となると一筋縄ではいかないところがあります。では帰国子女や帰国子女レベルの英語学習者はどのようにすれば上達するのでしょうか。

帰国子女の英語力とはどのようなものなのか

帰国子女といっても、滞在期間も様々ですのでその英語力は一概には言えません。

日本の小学校高学年の子どもが皆、文科省が目標としている国語力に到達しているとは限りません。英語力も然り。別物に考えられがちですが、基本は同じです。そのため、前提として考える基準は飽くまでも経験則によるところになります。私の感覚では小学校5・6年生で英検準1級レベルが帰国子女に期待できる英語力です。しかし、最近の英検の傾向としては、彙力不足をリスニング・ライティングで大きくカバーできてしまうところがあります。一概に英検準1級に合格しているといっても、合否以上に四技能のバランスがうまくとれているかに注目することが重要です。今回は英検準1級の試験のリーディング・ライティング・リスニング・スピーキングの全項目で65%は満たし、且つ全体で7割以上を基準にした上で以下について考えます。

  • 言語力の軸となる言語は何語か
  • 会話力を維持するには
  • 文章力を維持するには
  • 文章読解力を鍛えるには
  • 英語学習に適した環境がどの程度作れるのか

言語力の軸は何語か

小学校で習う科目が全て英語で教科書も英語。それに慣れた状態で帰国し、日本語での授業、日本語の教科書では十分理解ができないとなる場合は英語を言語力の軸として捉えた方がいいでしょう。この条件に当てはまるのであれば、英語力を維持したり向上させたりするのは、海外の教科書を取り寄せて学習する・学習した内容を英語でアウトプットする場を作るなどのことが必要になるでしょう。考えられる環境作りは主に以下の5つです。

  1. 自身が主体となり自分でレベル、ジャンル、アウトプットする内容をカスタムできるような英語教室を探しましょう。

本来の教室の主旨ではない可能性があります。個人レッスンで対応してもらえないか相談するのもいいかと思います。または、ハイレベルなアウトプットを求められるようなグループレッスンを提案していただきましょう。

2. インターネット上でそのような話し相手を探す

最近ではオンラインサービスも充実しております。1年ほど試しに利用した経験から要点・注意点をお伝えします。

・講師を探す目的で最低5人の講師から有料レッスンを受けた方がいい

・テキストの「上級」でも物足りない可能性がある。

・接続トラブルは自己責任

初めてレッスンを受けた講師が良いと感じる場合でも、その講師の予約がいつでも取れるか分かりません。習慣化するのであれば、候補となる講師を数人探す必要があります。また、ネイティブだからといって教える内容が正確であるとは限りません。私がレッスンを受けた中には講師の方の指導内容に大きな誤りがあったものも。最後には訂正していただきましたが、最初は「そんなはずはないのだけど」という反応で、受講者であるはずの私が逆に説明することに。中学生に教えてもよいと思える内容でしたが、ネイティブの講師は教えるという点について知識不足に感じました。

また態度の悪い講師にあたったこともあります。具体的には言葉遣いが少し汚いといったものになります。気づかないふりをしていましたので分からないと思われたのかもしれません。レビューでは「明るく・楽しい講師だった」という評価だったのですが、私の印象は違いました。ハラスメントになるような内容はありませんでしたが、飽くまで「教える立場の人がする話し方ではない」という私の感想になります。気の置けない友人とのカジュアルな会話がしたいという人はむしろ合っているのかもしれません。

15人の講師からレッスンを受けた結果、良いと思った講師は2名、そのどちらも予約でいっぱいならこの人という講師が3名でした。つまり2/3の講師は、私個人の評価としましては低いです。良いと思った講師とスケジュールが合わなくなる可能性もあることも注意してください。突然引っ越されて、時差が変化し、都合のいい時間帯に予約が取れなくなったということもあります。このことから最低5名からはレッスンを受けた方が良いでしょうし、講師は一定間隔で探し続ける必要があるのかもしれません。

接続トラブルは自己責任。

過去には講師の居住区域が一斉に停電してしまってレッスンを半分以上受けられなかったことがあります。講師の方が無料で別の授業をセッティングしてくださるということは私の受けたサービスではありませんでした。申請すれば補償はしてくださると思います。私は申請しておりません。話が合う方でしたので、万が一その件で迷惑がかかる可能性を考えました。これらの判断も総合的にご自身でされるようになるかと思います。オンラインレッスンを受ける以上ある程度は仕方ないことなのかもしれません。

3.AIを駆使する

最近ではAIを英語学習に活用してる人も増えてきました。有料プランを数ヶ月利用し、ある程度メリットとデメリットが分かりました。

メリット:レッスンを定額で受けることを考えると低コストです。様々な要求に応じてくれ、嫌な顔一つしません。会話の内容をノートにまとめてくれたり、表にもしてくれたりもします。また、自分がこう言えばもっと良かったかもと思えるような返事をくれます。

デメリット:AIはいい練習相手になる反面、使い続けていると物足りないと感じる場合があります。※人格を設定するとことで、ある程度は個人的体験を交えて話してくれるようになります。しかし、あまり会話の内容に奥行きがなく、続けていくには退屈な会話を続けられる印象があります。実際にAIが高校生という設定で、友達と一緒にビーチに行った話をしてもらい、そこから楽しく話をする展開にしようと思っていたところ、最初は具体性のある体験をAIも話してくれたのですが、徐々にそのトピックから離れ、私の趣味の話になり、人格を設定していないAIの返事と全く同じ口調になり最終的には堂々巡りの質問ばかりになりました。しかし実際の人との会話はもっと盛り上がります。AIとの練習は、独り言とほとんど変わりません。ノートをまとめてくれるという意味では利点も大きいのですが、それならば有料であるメリットは感じません。ただし使用制限のあるモードが有料プランだと多く使え、この中には小さな子供ならみんな話したくなる「あの人」の声が期間限定であります。自発的に話しかけるきっかけづくりの教材としてはいいのかもしれませんが、英検準1級レベルの学習者に対するメリットはあまり無いように思います。AIも進化はしていっているようですので飽くまでも2025年2月現在、一般的にAIを駆使して英語学習する場合の感想になります。

4. ALTが多く在籍しているような学校を探すか英語で授業をしている学校を探す

個人的には私は環境に依存した一点突破はお勧めできませんが、一要素としてそういう環境を求めることについては良いと思っています。

5. 独り言で練習する

上級者なら独り言もいい練習になると思います。むしろリアクションなしで話し続けるのは案外難易度が高く、いい修行でになると思います。ニュースや映画の感想を話す練習をされるといいと思います。この際にもAIを独り言の聞き役に使うのは良いと思います。

英語学習に適した環境がどの程度作れるのか

周囲の環境はどうか。帰国子女の多くは親の仕事の都合で海外の学校に通うことになったケースがほとんどですので、まずは親子の会話で英語が使われているのかどうかは、英語力維持の大きな足がかりになると思います。しかし、私の環境を振り返っても、親とのコミュニケーションが英語であるだけでは不十分であると思います。やはり、意図的に親子の時間を作るようにするなどの努力が必要です。私の父は保育園に私を預ける際には、わざわざ車で遠回りしながら会話の時間や英語教材の音声を聞かせる時間を作っていました。

  • 親以外で英語を話す相手を探しましょう。経験上、英語力に突出しても「英語」を軸にした仲間がいないという悩みはよくあるものです。学校の英語の授業でディスカッションをしてもクラスでトップレベルの生徒は一人ずつ各グループに配属され、進行役をさせられ、トップレベルの子ども同士でディスカッションをする機会は滅多に巡ってきません。こういったことが悩みになっているケースは少なくないように感じています。卒業生に帰国子女並みに英語が流暢な高校生がいました。その生徒がこの悩みを語ってくれた際に、学校ではいつも感じているフラストレーションをELKの授業で発散しているのだと話してくれました。トップの学生はそれはそれでマイノリティになっていることをどうか忘れず伸びる方法を探してください。
  • 意識してスピーキングの練習をしているか。帰国子女が大人顔負けな英語力を持っていたとしても、時事に強いか、様々な話題について話ができるかは別ものなのです。例えば、日本語でも「宇宙開発」についてニュースを見て、それについてどれだけ話せるかは意識と知識の問題がついてきます。見た映画についてどれだけ語れるでしょうか。英語力・国語力と称される力にはそういった力が前提にあります。ならば、スピーキングを練習するのであれば、そういった話題について話す練習をする必要があります。1日1テーマでも良いので独り言で時事についてや文学や芸術などの文化的なことについて話す訓練をしましょう。
  • 英文法を鍛え直す。帰国子女とはいえ、いざ文章を書いてみると文法や構成面で未熟さが浮き彫りになることがあります。それは日本語ネイティブの小学校高学年の子どもが書いた作文を見ても明らかです。逆にこういった部分が伸び代であり、鍛えることが英語力向上に直接つながると言えます。また、経験上、英文法については英語で読んだ方が分かりやすいです。せっかく帰国子女であるアドバンテージがあるので、英文法は英語で理解を進めましょう。英検準1級レベルであれば、帰国子女でなくても文法事項は英語で学び直すことをお勧めします。
  • 海外経験なし、インターナショナルスクールを経験せず小学生のうちに英検に準1級に合格する子どもと比較し、一般的な小学5・6年生の帰国子女の流暢さのみを基準にすると、英検1級のスピーキングは突破するものがあると思います。もちろん流暢さだけで1級のスピーキングは突破できません。

周囲の環境はどうか。帰国子女の多くは親の仕事の都合で海外の学校に通うことになったケースがほとんどですので、まずは親子の会話で英語が使われているのかどうかは、英語力維持の大きな足がかりになると思います。

しかし、私の環境を振り返っても、親とのコミュニケーションが英語であるだけでは不十分であると思います。やはり、意図的に親子の時間を作るようにするなどの努力が必要です。私の父は保育園に私を預ける際には、わざわざ車で遠回りしながら会話の時間や英語教材の音声を聞かせる時間を作っていました。

親以外で英語を話す相手はいるか。経験上、英語力に突出しても「英語」を軸にした仲間がいないという悩みはよくあるものです。学校の英語の授業でディスカッションをしてもクラスでトップレベルの生徒は一人ずつ各グループに配属され、ファシリテーターのようなことをさせられることが多いのですが、トップレベルの子ども同士でディスカッションをする機会は滅多に巡ってきません。卒業生に帰国子女並みに英語が流暢な高校生がいましたが、その生徒がこの悩みを語ってくれた際に、学校ではいつも感じているフラストレーションをELKの授業で発散しているのだと話してくれました。トップの子はトップの子でマイノリティであることをどうか覚えておいてください。意識してスピーキングの練習をしているか。帰国子女が大人顔負けな英語力を持っていたとしても、時事に強いか、様々な話題について話ができるかは別ものなのです。例えば日本語でも「宇宙開発」についてニュースを見て、それについてどれだけ話せるでしょうか。見た映画についてどれだけ語れるでしょうか。英語力・国語力と称される力にはそういった力が前提にあります。ならば、スピーキングを練習するのであれば、そういった話題について話す練習をする必要があります。1日1テーマでも良いので独り言で時事についてや文学や芸術などの文化的なことについて話す訓練をしましょう。

英文法を鍛えるには

英文法を鍛えるには文法書と英語辞書(英英辞書)を読むことが成果として確かなものが得られるでしょう。読帰国子女とはいえ、いざ文章を書いてみると文法や構成面で未熟さが浮き彫りになることがあります。それは日本語ネイティブの小学校高学年の子どもが書いた作文を見ても明らかです。逆に言えば、こういった部分を鍛えることは英語力向上につながると言えます。

そのための方法は前述した通り、英文法書と英語辞書を読むことです。経験上、英文法については英語で読んだ方が分かりやすいです。せっかく帰国子女であるアドバンテージがあるので、英文法は英語で理解を進めましょう。英検準1級レベルであれば、帰国子女でなくても文法事項は英語で学び直すことをお勧めします。日本の学校で習うBe動詞の~などという説明はなく、分かりやすいと思います。英語辞書は日本語でいうところの国語辞典です。こういったものをしっかりと読むことで、これまでなんとなく使ってた英語や聞いてきたものについて理解が深まると思います。是非お試しください。